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永遠のモヘアマルティ

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はじめに

とってもステキで大好きな糸だったのに、突然の廃番で姿を消してしまう毛糸があります。
私にとってはそれがパピーさんのモヘアマルティです。
今回はそのモヘアマルティについて綴ってみたいと思います。

ブログの記事を書くにあたり、株式会社ダイドーインターナショナル ニット事業本部 パピー事業部さんにメールにて取材させていただきました。
とても丁寧なお返事をいただき、ブログに書くことも許可していただいたので私なりにアツい思いをまとめたいと思います!


これは今現在私が持っている財庫のモヘアマルティ。
いろいろ探して見つけて入手しようと思っていますが、ほとんどのショップではもうすでに在庫ゼロになってしまっています。
もしこのブログをご覧の方で、手持ちのモヘアマルティを譲っても良いという方がいらしたらぜひメールにてご連絡ください。
よろしくお願いします!

 

モヘアマルティって?

画像でもお分かりいただけると思いますが、モヘア混のロングピッチのマルチカラー段染糸です。
ロングピッチなので編地の幅に応じたボーダーのグラデーションになり、非常に効果的な作品が編めます。
糸そのものが魅力的なので、メリヤス編みや簡単な編み地で色の特徴をいかした素敵な作品に仕上がります。

『モヘアマルティ』で画像検索してみると、糸の雰囲気をいかしたステキな作品がたくさんご覧いただけます。
私の編んだ作品もいくつか出てくるのでちょっとテンションがあがりました。

 

超ロングセラー!

モヘアマルティのすごさはいくつかあるのですが、まずなにより超ロングセラーな糸だったということです。
パピー事業部さんに伺ったところ
「 販売時期 1983年~2016年 33年に渡り弊社の見本帳に掲載されていた糸です」とのこと。
33年間もですよ!
すごく長い期間売れていた糸なんだろうなとは思っていましたが、まさか33年とは!
モヘアマルティが売り出されたころ、私はまだ小学生・・・・いや、中学生・・・
いえ、そんなことはどうでもよいのです。
とにかく、売り出された頃生まれた子がすでに社会人10年目くらいになって、やれ結婚だ出産だ言っているアラサーになっているくらい長い間ということです。

 

驚異のカラーバリエーション

それだけ超長期にわたって販売された糸ならば、果たしてどのくらいのカラーバリエーションがあったのか気になるところです。
パピーさんにお尋ねしたところ、販売された色数は100色以上とのこと。
色見本を画像検索すると、最近ではワンシーズンで12色程度展開されていました。
定番色もあるだろうし、毎年新色もいくつか追加されただろうし、そもそも初期はもう少し少なかったかもしれないし、今となっては正確には分からないようです。
それでも100色は下らないとのことですから、そのバリエーションは圧巻です。
全部揃えて見てみたかったです!

ところで色展開の豊富さで言えば、リッチモアのパーセントは100色ありますね。
リッチモアパーセント
単色ストレート糸なのでモヘアマルティとは全然雰囲気が違いますが、この色見本も見ていてわくわくしますね。

あとはJamieson’sのシェットランドスピンドリフトが225色!
Jamieson’s
この糸はフェアアイル用の糸ですので色が多いです。
本当に素晴らしい色展開で、この色見本を眺めているだけで余裕で一日過ごせます。
でもこの中から10色程度選んでフェアアイルの編みこみをデザインするなんて、ちょっと頭が混乱してしまいそう!
どの色もステキで、組み合わせは天文学的な数字で。
死ぬまでに本当にゆっくりやってみたいことの一つです。

そういうわけで、色数だけいうならモヘアマルティの他にもバリエーションが豊富な糸はたくさんありますが、モヘアのマルチカラー段染めのバリエーションとして100色以上というのは驚異的な数であると思います。

 

 コスパ良し!

モヘアマルティは一玉1296円(税込)で販売されていました。
1玉1000円オーバーの毛糸と聞くと、高価でなかなか手が出ないように思えますが、毛糸は1玉の重さと糸長が重要なファクターとなります。
通常モヘアは1玉20グラムから25グラム程度なのですが、モヘアマルティは1玉なんと50グラム。糸長は約160メートルにもなります。
なんとなく毛糸を買うときは着分=10玉と考えがちなのですが、モヘアマルティにおいては6玉(300g)もあればセーターが一着編めてしまいます。
そう考えると高いどころか、コスパの良い糸といえます。
糸長が長いということは糸継ぎも少なくて済むというメリットがあります。
糸始末の手間も最小限に抑えられるうえ、こういった段染めグラデーションは色のつながりが大切なので途中で色が途切れるリスクが少なくなります。
また、独特のコシとハリが特長で、一本どりでも透けのないしっかりした軽い編地になるのです。

 

なぜ廃盤に?!

こんなに良いことづくめの糸、なぜ廃盤になってしまったのでしょう?!
売れていなかったわけじゃない。ファンだってたくさんいた。33年間も販売していた歴史のある製品。
なのに、なぜ?!
パピーさんに率直にお伺いしたところ
「長年生産と販売しておりましたイタリアのメーカーが工場を売却され 同じ品質のものが仕入できなくなったのが最大の理由です」
工場が無くなってしまったということなのですね。
そうそう今更ですが、モヘアマルティはイタリアの糸でした。
日本ではパピーさんが扱っていたというわけで、パピーさんが作っている糸ではなかったのです。
ステキな糸だけに、このクオリティのものがどこの工場でも作れるわけはないでしょう。
工場が存在しなくなってしまったということは、もうモヘアマルティの復活は難しいでしょうね。
至極残念なことですが、こういう状況では仕方のないことです。
今回パピー事業部さんに思い切ってお尋ねして本当に良かったと思います。

パピーさんからは最後にこんなメッセージをいただきました。
「これだけ長い間 皆様に愛された糸を廃番にせざるを得ないのは私たちパピーに携わる者としてもとても寂しい思いでおります。
これからも皆様に愛され続ける糸を開発、販売していきたいと思っておりますので今後ともどうぞよろしくお願い致します。」

パピーさんありがとうございました。

 

モヘアマルティで編んだ作品

最後に、私の手元に残っているモヘアマルティで編んだ作品をご紹介します。

この2着はトップダウンのパターン『On the beach』です。
段染めの特性を生かすにはトップダウンのパターンだと思いまして、一気に二着編みました。
前身頃と後身頃をつなげて輪で編むので、ボーダーがつながってとてもきれいな仕上がりになります。
とじはぎがないのでなんと4玉半程度で一着編めてしまいます。
今持っている財庫のモヘアマルティもこれを編もうと思います。

 

もう一着はかぎ針編みのジャケットです。

ツイードのような風合いを出したかったので、モヘアマルティにメリノウールを引きそろえ、引きあげ編みを入れながら立体的な編地にしました。
好きな色ばかりが出てくるグラデーションだったのでとても楽しく編めました。
左右身頃、左右袖は2枚とも色の出方が同じになるように、多少糸を切ってつないで編んだところもあります。
縁にはモール糸でボリュームを出しました。
しっかりした作りですが、軽い仕上がりになりました。

グラデーションが効果的に使えるとても良い糸だったということがおわかりいただけると思います。
ほかにも何枚も編んだのですが、プレゼントしてしまったり、古くなって処分してしまったりして手元にはもう残っていません。
もっと丁寧に手入れをしてきちんと保管しておけばよかったと今更後悔しています。

 

さいごに

大好きだったモヘアマルティについて、私の思うところをまとめてみました。
ブログにまとめておきたかったので、今回時間をかけて書きました。
いつかまた、このくらい好きな糸に出会えると良いなと思っています。
もちろん今販売中の素敵な糸もいつ廃番になるかわかりません。
糸は一期一会の宝物ですね。

 





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コメント

  1. […] てパピーにはモヘアマルティというモヘアの段染め糸があって 私はその糸が大好きだったのです。廃盤になったときにはショックで こんな記事まで書きました。永遠のモヘアマルティ) […]

パピー2019-2020秋冬コレクションレポ | Sowaka Yarn Works へ返信する コメントをキャンセル





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