Tips 2017.4.8

使い方に悩む糸の活用法

お店で毛糸を見かけて、何となく色がきれいとか手触りが良いとかいった理由でつい買い込んでしまうことがあります。
特にこの季節は冬糸から夏糸へ売り場が変わりますから、高価な糸がセールになっていますので衝動買いの危険性はマックスです。
また、メーカーさんや毛糸屋さんの毛糸福袋の誘惑にも打ち勝てないことがあります。

そうしてたまりにたまった毛糸たち。
いつしか家族に秘密の毛糸のストックがクローゼットからあふれてしまったり、
不意に届いた毛糸屋さんからの『宝の小包』を家族が受け取って開けてしまって騒動が勃発したり、
「今、私が突然死したら、押し入れに保管してある毛糸はどうなるのかしら・・・」と夜中に心配になったり。
増えていく毛糸に感じるちょっとした不安はニッターには共通の悩みでしょう。

それに、もう一つ。
気に入って買ったはずの毛糸が実はちょっと違ったとか、福袋に入っていた毛糸が好みじゃなかったとか
セールのテンションで買ったは良いけど、冷静になったらそもそもなぜ買ったのか理解できないとか、
結果的に扱いに困る糸というのが結構多くあります。

もちろん私もそういった悩みに悩むニッターの一人です。
今回はそんな『使い方に悩む糸』をなんとかきちんと作品に仕立て、
自分の買い物が間違っていなかったと納得させるための私のプロジェクトをご紹介します。

まず、毛糸メーカーさんの福袋に入っていたベビーピンクの毛糸。

肌触りは最高に良いウール100％。
スーパーウォッシュということですので、洗濯にも強い良い糸だと思います。
けれど、私はこの色は全く似合わないのです。
今まであえて避けてきた色と言っても良いです。
もちろんシンプルなＶネックのプルオーバーでも編んでみたら意外に使えるアイテムになると思います。
けれど、なんとなく今すぐに編む気分にならない。
「とりあえず保管しておこう・・・」そうして半年ほど寝かせていた糸です。

もう一つはこの段染めモヘア。

写真を見ておわかりの通り、赤札です。セールです。大好物です。
この糸を買ったとき、私はモヘアマルティの廃番に打ちひしがれていました。
モヘアの段染め・・・それだけで私は飛びついてしまったのです。
色合いも茶色ベースでカワイイし、なにせモヘアの段染めだし！
それになによりセールだし！
あまり深く考えずに10玉買って帰ってきました。
・・・モヘアの10玉って相当ですね。

自宅に帰ってすぐに試し編みをしてみました。
毛糸を買ったテンションのままウキウキして編んでみたのですが、
まず気になったのは糸の細さ。
モヘアマルティのボリューム感が好きだった私は、一般的なモヘアの細さに若干疲れてしまいました。
それに段染めの色相のレンジが広すぎて、落ち着かない編み地になってしまいました。
こげ茶、ベージュ、フューシャピンク、ベビーピンク、エメラルドグリーン・・・
一つ一つの色はとても良いのですが、これが段染めで続々来るとくどいのです。
ということでこれもいったんお蔵入り。
見て見ぬふりして片づけておきました。

そのあと間もなく『毛糸だま』の特集でラトビアの編みこみを見かけたわけです。
そのときピコーン！と頭のなかで思い立ったのが、
ベビーピンクを地糸にして、あの激しい色合いのモヘアの段染めを配色糸にしてみよう！
というアイデア。
毛糸のストックがあると、思いついたときにすぐに編めるのがステキですね。
早速試し編み。

おお！
これは面白い編地になりました。
シンプルすぎたベビーピンクが、激しい段染めのモヘアをうまく緩衝している！
そして、激しい段染めがたくさんの色を使った編みこみのように見える！
まるで複雑なフェアアイルみたいです。
この感じならイケそうなので、このままカーディガンを編むことにしました。
本に載っているゲージとはずいぶんずれているので、そこは製図です。
こんな時に面倒だった製図の勉強が役に立ちます。

こうして使い方に悩んでいた2種類の毛糸が一気に活用できる作品になりました。